わたしがそう勝手に呼んでいる橋があった。辛い時があると、少し遠回りをしてそこを通る。
もっと辛い時は灯台まで行く。
ライトアップされた橋を渡り、高台から海を見渡すと、どんなに絶望している時も、まだよいことが待っているような気がしてきたものだった。
別に頻繁に行ってたわけじゃない。仕事を辞めた時。彼女に振られた時。辛いことがあった時、本当に時々、その一人になる時間がわたしには必要だった。
そして、今日。
いや、今日というより、本当は、一年前くらいからじわじわ感じてきたものかもしれないけど、我慢の糸がプツンとキレた。
気づいたら、運転しながら泣いていた。
そして、わたしは、その橋へ続く高速道路へと、無意識のうちにハンドルを切っていた。
真夜中の工業地帯。
でも、まるで夜空の星をぶちまけたみたいに煌々と光る港の船やコンテナたち。
わたしはトラックの合間を飛ばした。
あの橋はどこにあるの?
道路が工事中で、見慣れた道路に行きつかない。気づいたら人っ子一人いない駐車場の入り口に迷い込んでいた。
とりあえず停まる。
目の前には、チケットを取るゲートがある。
うーむ。
これは入ったら出てこれない系だよね。とりあえず戻りたいのだが、逆車線には分離帯があって移動できない。どうやって戻ればよいのか、わからない。
幸いなことに道はガラガラ。後ろから車が来ていないのを確認しながら、思い切りバックで逆走した。
うーむ。
自分は何をやっているのだ。
気づいたらちょっと笑ってた。
嫌なことはある。
辛いこともある。
人生だもの。
みつをじゃないけどさ。
でも、きっと、わたしは大丈夫!
どんなに辛いことがあっても、ネガティブな気持ちになっても、これまでもいつも乗り越えて、時には逃げ出して、生き延びて来た。