#あたシモ

虹の向こう側

誰も、完璧ではありえない。ヒラリーとバーニーはいつから同性婚に賛成しだしたのか?「結婚防衛法」をめぐる発言から見てみるよ

photo by foxaudiovisual

今こそレインボーステッカーでLGBTへのアピールに余念がないヒラリー・クリントンですが、実は彼女はLGBTの権利擁護に鈍いといって批判されたりしてきました。なんといっても、ヒラリーは「結婚は男女間の神聖なもの」とかずっと言ってて、実に2013年まで同性婚を支持していなかったんです!

また、今ヒラリーが批判されているのが結婚防衛法(Defense of Marriage Act :通称DOMA)の制定経緯をめぐる認識です。ヒラリーの夫であるビル・クリントン政権下で制定されたこの法律は、連邦法上において結婚を男女間に限るとし、長い間、連邦レベルでの同性婚の実現のための障害だと考えられてきました。結局この差別的な法律DOMAは、2013年に違憲だと判断されましたが、ヒラリーはMSNBCのレポーター、レイチェル・マドー(レズビアンです)へのインタビューで以下のように述べ、この差別的な法律の制定を擁護しました。

「当時、同性婚を禁じるための憲法改正の動きがあると、わたしの夫は信じていたのです。またそれを支える証拠もありました。結婚防衛法は、いろいろな意味で、それを止めるために引かれた線だったのです」

つまり、同性婚を法律で禁止することにより、「憲法改正」というもっと重大な形で同性婚が禁止されるのを防いだといいたいのですね。国家の最高法規である憲法は、本当に重要であり、一度これが制定されると、これに反する法律などは無効になります(DOMAも、憲法の平等条項に違反するとして無効になりました)。なので、「最高法規である憲法が改正されないようにする」ことが最重要事項だったという言い分です。

しかし、実はヒラリーの語るDOMAの成立経緯は事実と異なります。確かに、憲法改正の話が出るようになってからは民主党員が「DOMAがあるんだから、憲法改正はいらない」と主張することはありました。しかし、そういう議論が出るようになったのは、DOMA成立から8年も経ってからのことであり、90年代には、同性婚を禁止するような憲法改正の動きはなかったのです(参考記事)。

大統領は、拒否権を持ちますから、もし本当に大統領が「この法律は正しくない」と思えば、法案への署名を拒否することができました。でも、ビル・クリントンはそうしませんでした。共和党だけでなく民主党議員の表も集め、圧倒的多数で可決したこの法律に署名することは政治的に簡単な決断だったのです。

さらにビル・クリントンは、DOMAへ署名したことを「同性婚を食い止めた」実績として、保守的な南部でのラジオコマーシャルでアピールしていたのです!うわー何たる二枚舌ー!

435人の下院議員のうち、DOMAに反対したのは67人で、現在民主党から同じく大統領選挙に出馬しているバーニー・サンダースはその一人でした。バーニーは、そのことをアピールし、DOMAを擁護しているヒラリーを批判しています。

photo by Michael Vadon

何気に、バーニーも同性婚推進派ではなかった

……といっても、バーニーも、DOMAに反対した理由は「結婚は州に任せるべきだから」というもので、必ずしも同性婚に賛成していたわけではないんですよね。バーニーは2006年位まで「シビル・ユニオンがいいと思う」と言っていたんです。

バーニーが同性婚に賛成しだしたのは、2009年くらいからです。←ヒラリーの2013年よりは先ですネ。

まぁ、彼らがなかなか同性婚支持を出来なかったのには、アメリカにたくさんいる「アメリカは男女間の神聖なもの!」層が強力で、そちらからのバッシングを正面から受けないように巧妙にしていたのもあると思います。政治家の発言って丁寧に追っていくと本当に勉強になりますわ。

二人とも、今では同性婚を支持していることはもちろん「それを超えた平等を」と訴えている点は評価できます。

人は誰しも完璧ではないし、意見が変わるのはよいことです。でも過去の過ちを認めずに「歴史を改変」して語ってしまうというのは、やめてほしいです。政治家だから口がうまいのはわかるんだけど。

共和党に比べたらどちらもマシ

……とここまで、ネチネチと細かく見てきたんですが、一方共和党に目を向けてみて唖然。

これまで数え切れないほどの差別的発言を繰り返しているドナルド・トランプや、アンチLGBTな集まりに何度も出席しているテッド・クルーズ、同性婚にも性的指向による差別禁止にも反対しているマルコ・ルビオ、「LGBT従業員はクビにされたくなければクロゼットにこもっていろ」と言ったランド・ポール、「同性婚は新マルクス主義者の陰謀」と主張しているベン・カーソン(以上すべて共和党の大統領候補)

「LGBTの平等を求める戦いは終わっていない」ヒラリー・クリントンが新動画リリース - 石壁に百合の花咲く

というわけで、ヒラリーとバーニーばっかり比較していたわたしなのですが、大きな目で見たら「とりあえず民主党が勝ってくれればそれでいい」かなぁ……。

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