アンディー・ウォーホルがモチーフにするなど、もはやアイコニックな存在であるキャンベル・スープ。しかし今も、現役でスープをしっかり作り続けており、アメリカではスーパーの棚を埋め尽くしています。
このキャンベルが、二人の父親と子どもをフィーチャーしたコマーシャルが、先月頭に公開され、かなり話題になりました。
スターウォーズに出てくるダースベイダーのモノマネをしながら、子どもにスープをあげる二人のお父さん。とっても微笑ましいコマーシャルなのですが、やはりこういう「多様な家族像」を許せない人っているんですねぇ。ホモフォビックな人たちは、早速キャンベル・スープのボイコットをネットで呼びかけ。インターネットのいたずら好きがキャンベルのカスタマーサービスのふりをしたフェイスブックページを立ち上げたところ、さっそく、クレームのコメントがじゃんじゃん入りだしました。
これに対する皮肉たっぷりの切り返しが、笑わせてくれます。
キム「御社の二人の父親の出てくるコマーシャルには気分を害しました」
キャンベル「こんにちは、キム!もしも、気分が悪いなら、キャンベルのおいしいチキンヌードルスープを召し上がることをおすすめします。くれぐれも温かくして召し上がってくださいね、あなたの死んだように凍えきった冷たい心があたたまるように」
キャンベルのチキンヌードルスープは、アメリカで体調が悪い時に食べる定番のスープなのです。日本でいう「おかゆ」的なものかな?「気分が悪くなった」という苦情にかけてるんですね。
こんなのもありました。
ジェス「あなたの、ホモセクシャル推進活動にはうんざりしました。あなたはスープを売っているわけであって、セックスを売っているわけじゃありませんよね。広告を取り下げてください、さもなければ会社が潰れますよ!」
キャンベル「ジェス・ヒックスさん、こんにちは!あなたはどういうわけか、二人の男性が子供にスープを食べさせている風景を、アナルへの刺激を描いた成人向け映画だと思ってしまったようですね?これは驚きました!これは大変な飛躍ですよ。キャンベルは人に対して共感的でありたいと思っていますが、あなたの観点には共感するのはちょっと難しいようです……」
わはははははは!全部は訳しませんが、ちょっとやり過ぎ感があるくらいエッジが立ってて笑えますw この画像は51万回以上閲覧されてて、大ヒットとなっています。他にも、いっぱい反応が集まったようです。
ところで、このアカウントはあくまで「いたずら」。キャンベルの公式ページの返答ではありません。そこで気になったのが「キャンベル公式は、ホモフォビックなコメントが寄せられたら、どういうふうに対処してるんだろ?」ということ。公式だったらここまでフザケたイカした返答できないよねー?
調べてみたら、公式ページの当該CMのポストに対しては、「ありがとう!」「最高です!」「ブラジルからです。アメリカ行った時に食べたキャンベルの味を思い出します。素晴らしいCM」「カナダでの放映は?」など絶賛の声だらけ。もしかしてネガティブなコメントは消してるのかもしれませんね。
自分でホモフォビックなコメントを投稿して、彼らがどういう対応をしているのか実験しようかとも思いましたが、実際にホモフォビックなコメントって存在するわけで、そういうヘイトスピーチを、たとえ実験であっても、自分の口から出して、企業に嘘のメッセージを届けることになったら嫌だなーと思ってやめました。
ここで紹介したスクリーンショットだけみたら、ホモフォビックなコメントを必死で書いてる人がバカバカしくて笑えるだけですが、実際にホモフォーブの人たちはごくごく本気でやってますし、キャンベルに対するボイコットとCM取り下げの呼びかけも、ガチで行われています。そういう人たち本人は別にこういう切り返しをされても変わることはないんだろうけど、憎しみをぶつけられた時に、笑いに転化したり、相手をからかって交わすというのは、マイノリティが身につけてきた一つの生きる知恵なのかもなーなんて思いました。そして、バックラッシュにあうリスクを持ちながらも、多様な家族をフィーチャーしたキャンベルには拍手を送りたいです。
わたしの住む街も、今夜からぐっと寒くなってきました。明日からサンクスギビングの連休。キャンベル・スープでも買ってきて、ほっこりあたたまろうっと!
キャンベル:スープ(チキンヌードル) Campbell's Soup - Chicken Noodle
- 出版社/メーカー: キャンベルジャパン株式会社
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