#あたシモ

アメリカで働くレズの徒然

日本に続き米国でもヒット中?映画『天気の子』が幼稚すぎて驚いた件

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現在アメリカの映画館で先月から上映中の『Weathering with you(原題:天気の子)』を観てきましたので感想です!

『天気の子』あらすじ

離島にある実家から家出し、雨が続く異常気象の東京にやってきた高1の穂高。バイトも見つからず、すぐに生活は困窮し、船で知り合った須賀の助けのもとオカルト雑誌の編プロで働くことに。「晴れ女」の噂を求めて取材を続けるうちに「必ず晴れにできる」少女陽菜と知り合う。陽菜は、1年前、母親を亡くしていたが、その頃から天気を変える力を手に入れていた。弟の凪と二人で暮らすため、稼がなくてはいけない陽菜は、穂高とともに「晴れ女」の仕事を始める。「晴れにしてくれてありがとう」と感謝される仕事にやりがいを感じる陽菜。穂高は陽菜への恋心を自覚し、彼女の18歳の誕生日に告白するため、プレゼントの指輪を用意する。しかし、実は天気を晴れにするたびに、陽菜の身体は透き通りだしていた。古来より伝わる「晴れ女」は実は人柱だという噂があり、自らが犠牲になることで、異常な天気を治せるのだという。そして、陽菜がこつ然と消えた朝、東京は久しぶりに晴れていた。陽菜が自分を犠牲にして東京に晴天を取り戻したのだ。陽菜を探しに行こうとする穂高。しかし、家出人なおかつ拳銃を持っていた穂高は警察に捕まってしまう。

『天気の子』感想

物語が幼稚すぎてびっくり!

絵はキレイで満足。

RADWIMPS大好きなのね。とか、大げさな挿入歌の使い方とか、まあ、悪い意味での「作家性」(監督の趣味)丸出しで、自己満足な感じ。

やはり、前作の『君の名は。』と同じところが鼻につきましたね。

物語が弱すぎる

で、前作よりもレベルが下がったと感じたのが「世界の秘密」だの、「世界のあり方を変えてしまった」だの、大きく出るわりには、「え、ソレだけ?」という感じでした。

なんだろう、「異常気象」という現象を描いていながら、物語があまりに、ミクロすぎてな……(ぽかーん)

「晴れ女」「空とつながる」だの、「人柱」だの、大きな設定を出して来ていながら、それをうまく回収しきれてない。

そもそも、この東京の大雨は「異常」なものなのか?それとも、かつては海だった東京を昔の姿に戻した「これもあり」な自然の一貫なのか?

映画では、ここの軸が揺れている気がしました。関連しますが「空の世界」の描写も少なかったですよね。空の上に魚がいるのか?過去に人柱となった人はどこに行ったのか?ここらへん「空の世界」の描写が少なく、その世界でのルールがよくわかりませんでした。人柱となった陽菜を取り戻すという穂高の行為は、通常であれば「想定外」の行為だと思いますが、空の世界的にはありだったのでしょうか?

米国では「気候変動」とのつながりを読み込むような解釈もあるようですが、いやいや絶対そこまで考えてないだろw 天気って環境とか経済とかいろいろな影響あるけど、この作品での天気の存在って「人の気持ちの関係」という、ひたすら個人的なレベルで止まってると思う。

穂高のナレーションもはじめから気になります。冒頭、母親の病室にいる陽菜が、「光のプール」を見つけ、天気を操る力を手に入れるからナレーション入ってるのですが、陽菜の経験を説明するシーンなのに穂高目線でナレーションされてるし。最初から最後まで「ぼく視点」オンリーで、陽菜はどうなの?陽菜はどう思ってんの?というのがいまいち伝わってこない。

前作『君の名は。』の主人公があちらこちらに出てくるのも、ファンにはいいのかもしれないけど「東京ってそんなに狭くないぞ」というね。前回的に世界が狭すぎる。

素晴らしいアニメアート

…と、言いたい放題しましたが、ビジュアルは素晴らしかったです。

主に東京が舞台なのですが、薄汚れた街などもリアルでありながら、それでいて幻想的に美しく描かれていました。「あ、ここは新宿のあそこだな」「わかるわかる」と。雨粒の描写も美しく、街が晴れていくシーン、東京タワー……。花火大会の、空中からまるでドローン撮影のようなシーンは涙が出てくるほどでした。これは、おそらくわたしが東京に対して抱いている感傷のせいもあるでしょう。

しかし、全体的に、この作品は期待ハズレでした!

『君の名は。』も「薄っぺらい話だ」と思ってレビューしましたが、今作に比べると、そちらのほうがまだスケールが大きいというか、そっちの方がよかったですね。

『天気の子』アメリカでの評価は?

『天気の子』は映画批評サイトロッテントマトで評価スコア90%及びオーディエンススコア95%という非常に高い評価を得ています。

しかし、ロッテントマトは、マニアックな映画の場合「わざわざ観にいく人」が母数となってスコアリングされるので、マニアックであればあるほど評価が偏ります(オーディエンス数はたったの154件です)。

限定公開でもあるので、大ヒットとは言いませんが、「一部のファンに熱烈に愛されている」というのが米国でのフェアな評価だと思います。

  • キャラが幼稚度 ★★★★★
  • 脚本がご都合主義度 ★★★★★
  • アート美しい度 ★★★★★

『天気の子』概要

  • 監督・脚本:新海誠
  • 上映時間:111分
  • 出演: 醍醐虎汰朗、 森七菜、 小栗旬、 本田翼

www.atashimo.com

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