悪あがきする反ゲイ派
2015年の6月にアメリカの最高裁が同性婚の禁止を違憲とし、実質的に全米で同性婚が可能になりましたが、宗教右派をはじめとする反ゲイ派は抵抗を続けています。やれやれ。
ケンタッキー州ロワン郡では宗教上の信念を理由に同性カップルへの結婚許可証発行を拒否し続けていた書記官もいるほど。彼女の職務不履行は裁判沙汰になり、最高裁に「結婚許可証をだしなさい」と命令されたにも関わらず拒否しているので、とうとう刑務所に入ることになりました。
この書記官キム・デービス(Kim Davis)さん*1は「神の権限に基いて」神が定めた結婚の定義(男女間のもの)を汚す同性カップルへの結婚許可証の発行を拒否しており、「天国か地獄に行くかの問題」と言っています。しかし、そんなこと言うなら、この人は、過去に「離婚」を望む異性カップルに対して同じように妨害したんですかね?離婚も神の定めた婚姻の定義とやらを踏みにじるものだと思いますけど、そんな話聞いたことありません。っていうか、このキム・デービスさん自身、過去に3度離婚してるんですよ。といってもダガー一家の件と同じで、わたしは別に離婚を何度してようが、この人を責めようとは思いません。この人がゲイバッシングのために使っている「結婚は神聖なもの」っていう口実の薄っぺらさが透けて見えて笑えますが、デービスさんが税金で養われている地方公務員として、しっかり仕事をしてくれれば、その人の私生活についてなんだかんだ言うつもりはありません。
そんな胸糞悪いニュースの一方でこんなさわやかなニュースを見つけたのでご紹介します。
40年前「同性婚」を許可したもう一人の書記官
1975年のコロラド州ボールダー郡。決して大都会とは言えないこの街で、6組の同性カップルに結婚許可証を出した書記官がいました。
この書記官、クレラ・ロレックス(Clela Rorex)さんは当時のことを以下のように回想しています。
「男性カップルがきて、結婚許可証を求めました。その時、わたしは大きな大きなモラル上の問題にさらされたのです。同性カップルを差別するべきだろうか?」
ロレックスさんは、以前、夫の任地として赴いたグアンタナモでキューバ人たちと働くなかで、人種の不公平を目の当たりにしていました。またその後は女性解放運動にも参加し、自らも女性として差別と戦ってきていました。
「それまで、同性婚について考えたことはありませんでしたし、オープンにしているゲイの人をみるのははじめてのことでした。『できるかわかりません』といって、州検察官に問い合わせたところ『コロラド州の婚姻についての法律は、結婚が男女間のものに限定してはいない』と言うのです。そこで、わたしは許可証を出したのです*2」
ロレックスさんは、このカップル以外にも、他にも5組の同性カップルに結婚許可証を与えました。
この奇妙な「合法な同性婚」の話は瞬く間に広がり、ニューヨーク・タイムズ紙が取り上げるほどになりました。ロレックスさんには怒りの手紙や殺害予告などが届き、嫌がらせは家族にまで及びました。
結局コロラド州の司法長官はこの6つの同性婚を無効としました。
でも、ロレックスさんが「正しかった」ことは40年後の今、歴史が証明しています。
「わたしは単にあの時、あの場にいた一人の若い女性でした。でもあの選択をして、本当によかったと思います。もしあの時あの決断をしていなければ、今日、鏡のなかの自分を見るのが辛いこととなっていたと思うのです」
40年前、このような勇敢な行動を取った書記官がいたことに、とても勇気づけられました。
↑ロレックスさんの動画はこちら。胸が一杯になりました。
↑当時結婚許可証を求めたカップル。これも勇気のいることですよね。日本でも実践しているカップルのニュースを聞きました。多くの人の小さな努力が、少しずつ社会を変えていくと信じています。
*1:韓国系なのではという憶測が見られたけど、彼女は白人女性です。キムというのはよくある女性の名前です。