#あたシモ

アメリカで働くレズの徒然

Netflix『ナイアド 〜その決意は海を越える〜』がよかった

ナイアド レビュー

今更なのですが、Netflix映画『ナイアド 〜その決意は海を越える〜(原題:NYAD)』がよかったです。実話を元にしたこの物語自体もインスパイアリングなのですが、中年クィア女性2人の愛と絆を描いている作品というテーマ自体もよかったです。

あらすじ

マラソンスイマーを引退して30年、スポーツジャーナリストとして輝かしいキャリアを築いていたダイアナ・ナイアド(アネット・べニング)。数々の記録を持つ彼女だが「キューバからフロリダまで103マイルを泳いで渡る」という夢があった。まだ誰も果たしたことのなく、「水泳界のエベレスト」に例えられるような困難なコースに28才の時挑んだが残念ながらドロップアウト。60才になったナイアドは改めてその夢に挑戦したい、と親友のボニー(ジョディ―・フォスター)にコーチを依頼する。過酷な天候と潮の流れ、サメやクラゲなどの海の生物による攻撃の危険、低体温省の危険、なにより60才という年齢でこの挑戦は成功するのか?

感想(ネタバレあり)

よかった!ジョディ―・フォスター、かっこよすぎる!

サムネイルを見て、「地味でアーティスティック」な作品なのかな?と想像していたのですが、全然違いました。極端なゴールに立ち向かうアスリートとそれを支える人々のギリギリするような攻防あり、心理劇あり、何より、恋愛を超えた二人の絆にぐっと来ました。この二人、クィアなのですが、「昔デートしたことある」とか、「でも今はデートするの面倒くさい」とかなんかめちゃくちゃリアルなんですよね。そして60才~64才の設定のナイアドと、2才年下のボニーなのですが、かっこよく年齢を重ねている感じで、いいなーと。年齢を理由にして挑戦する前から諦めてること、だんだん増えてきたなと感じているのだけど、そうやって自分に言い訳しないで、夢に挑戦するって大切だなと。改めて思い出させてくれました。

そして、二人の絆がめちゃくちゃアツい!いくら昔デートしたことがあるといっても、今の二人は完全にプラトニックで、「彼女どう?話してきなさいよ」って後押しするような関係。それでも、やっぱり、親友だし、誰よりも近い存在なんだと思う。途中、何度も失敗し、あまりに極端なナイアドについていけなくなって、コーチのボニーも、ボートのキャプテンのバートレットも「無理!」ってなって離れてしまう瞬間があるのですが、それでも戻ってきた瞬間に、ボニーが言う言葉が感動的でした。

あなたが死ぬのなら、最後に見るのは私であってほしい

これって愛だよね、なんだろう、恋愛とかじゃなくて、そういうのを超えた愛。

また泳いでいる瞬間に限界を迎え、幻覚を見たり、コースを外れそうになっているナイアドを正気づけようとボニーが海に飛び込んで励ますシーンがあるのですが、そこで交わされるI love youも印象的。なんだろう、こんな風に傍で信じ、本気で支えてくれる存在、それって愛だよね。そうそう、愛ってこういうものだよねと。というかこういう愛がわたしも欲しいしこういう愛がわたしもほしい。

Fちゃんという彼女はいるからすごく恵まれてるし幸せだ。でも家族だよね、みたいに思ってた親友がいなくなってしまったことを思い出したりした。そんなこと、考えても仕方ないんだけどさ。

この作品は実話をベースにしていて、実際映画のラストではモデルとなった人たちの現実でのフッテージが挟み込まれているのだけど、わたしはこのニュースを知らなかったので、実際のナイアドとコーチの話をもっと知りたいなと思いました。調べよっと。

評価

『ナイアド 〜その決意は海を越える〜』はロッテン・トマトでトマトメーター88%の高評価を得ています。

また、アネット・べニング、ジョディ―・フォスターともに、ゴールデングローブ賞、アカデミー賞主演女優賞、助演女優賞にノミネートされています。二人とも熱演なので、これは納得。