TPPについて、アメリカ国内でも、大分ニュースで耳にするようになった。反対派が盛り上がってきているという文脈だ。以前もポツポツと反対派を見かけたが最近はもっと熱くなっている。
ウィキリークスが「TPPの内容に対して賞金十万ドル!」とかやって、内容を公開しようとしているけど*1、交渉内容が全部秘密って、おかしいでしょ。賛成してる政治家も内容がわかってないのに、よく賛成できるよね⁈
日本語で、TPPについて調べていた時は、「アメリカ主導」だとか、「アメリカの思い通り」という言葉が目立った。そこで、「ふぅん、アメリカはさぞかしTPPで得をするに違いないわー」と思い込んでいた。例えば、農作物の輸入を自由化をすると、日本の農家は安いアメリカ産のものと競争することになり、苦しくなる。それに対して、アメリカの農家は、売る先が増えて、ウハウハに儲かる……よくある「自由貿易」をめぐる話なら、こういうことかと思っていたんだけど、TPPは、どうも違うようなのだ。
アメリカ国内でもTPPは「労働者を害する」という反対運動がなされているのだ。驚いた。アメリカはTPPで得をするんだとばかり思い込んでいたから!
TPPは「貿易」についての話というより、国際的な大企業や投資家が、国を超えたビジネスをやりやすくするためのものだということがだんだん明らかになってきた*2。場合によっては企業が国を訴えて、企業の利益に反する政策を変えることすら可能になるという。国家権力よりも強い権限を企業に与えるって、これすごいことだよね?
最近リークされたのは、医療関係についての条項だが、ただでさえ、この国の医療制度はかなりおかしいのに、これ以上製薬会社に権限を与え、公的医療制度を弱体化させたら、一体どうなることやら……考えるだに恐ろしい。そして、このままでは日本の医療制度も、アメリカと同じくらいガタガタになる可能性がある。
わたしたちを支配するのは国家や政府というよりも、「企業」になりつつある。つまり、TPPは「アメリカの言いなりになるな!日本も交渉に参加すべき」とか言って、日本対アメリカとか諸外国というフレームで捉えるのは間違いで「大企業」って感じなんだなーというのが、最近非常によくわかってきた。
【参考記事】
大企業覇権としてのTPP http://tanakanews.com/150618tpp.htm
TPP関連法案でオバマ大統領と共和党が結託し、民主党が反発するねじれ構造 その舞台裏 http://www.huffingtonpost.jp/2015/06/17/obama-trade-deal_n_7600394.html
TPPはアメリカでも揉めている 交渉妥結の切り札「TPA法案」は激論の末可決へ http://www.huffingtonpost.jp/2015/05/22/senate-trade-vote_n_7418758.html
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