今回は映画『ミスエデュケーション』(原題:The Miseducation of Cameron Post)の紹介です。
『ミスエデュケーション』のあらすじ
1993年、キャメロン・ポストは、プロムの夜、車の中で女友達のコーリーとキスしているところを彼氏のジェイミーに見つかってしまう。幼い頃亡くなった両親の代わりにキャメロンの保護者だった叔母のルースは経験なクリスチャンであり、キャメロンを「ゲイ治療」のための施設「神の約束」へと預ける。
「元ゲイだったが克服した」というリーダーのリック、またリックの姉でプログラムの効果を信じているリディア、「同性に魅力を感じる」という病気を治すために集まっている仲間たちと出会ったキャメロンは、徐々に友情を育んでいく。
『ミスエデュケーション』の感想
クロエ・グレース・モレッツが超絶可愛いです!甘い美少女なのに、クールなキャラを演じているところがまたぐっと来る〜。クロエさんのガチレズシーンもあります。
映画としては、割と普通です。同じく『ゲイ矯正セラピー』を題材とした『GO!GO!チアーズ』がドタバタコメディでサービス精神に富んでいるのに対し、こっちはちょっと突き放した感じでクールなつくりです。結構シリアスなトピックで、それなりに事件はあるのですが、ハリウッドらしいこってりしたドラマ感もなく、淡々と進んで行きます。なんというか、「え、これで終わり」感というか、アンチクライマックスな映画ですね。
ただ、今十代でもっとも影響力を持つ存在のひとりであるクロエ・グレース・モレッツがこの役を演じたことの意味は大きいと思いますし、93年を舞台にしていることで、昨今の90’sブームにもうまくのったのではないでしょうか?
「自分自身のことを憎むようにプログラムすることが、精神的虐待でなくて何?」
クールに問いかけるクロエ・グレース・モレッツの言葉が心に残ります。
↑個人的には、このB級感あふれるノリも懐かしいです。
『ミスエデュケーション』監督デズレー・アカヴァン
ちなみに『ミスエデュケーション』はデズレー・アカヴァンが監督していますが、彼女自身バイセクシュアルで、この作品の後に『The Bisexual』というコメディ番組を作っています。
『ミスエデュケーション』出演者
この映画で魅力を最大限発揮しているクロエ・グレース・モレッツはもともと「ベッカムの息子」であるブルックリンとデートしていましたが、彼と破局したあと、2018年の年末にはモデルのケイト・ハリソンとマリブでキスしているのが目撃され「女性とデートか?」とゴシップ誌を騒がせました。
また、クールな「ジェーン・フォンダ」を演じているサーシャ・レインは、バイセクシャルであることを公言しています。またフォレスト・グッドラックは『レヴェナント:蘇えりし者』に出ていましたね。
ゲイ治療プログラム
『ミスエデュケーション』で舞台となる「God’s Promise(神の約束)」は同性に惹かれる気持ちを治療しようというものです。そこでは、自らをホモセクシュアルと自認することは禁じられ、生徒たちは、それぞれ「なぜ自分はジェンダー自認が混乱してしまったのか?」について考えさせ、原因を取り除くように要求されます。
性的指向を変更できるのではというのは「人はみなバイセクシュアルに生まれる」と考えていたフロイトの時代からある考え方ですが、アメリカでも80〜90年代、主に、キリスト教団体によって「ゲイは治癒可能な病気である」として大いに宣伝されました。その多くが祈り、神の導きに従えば、同性への気持ちはコントロールできるというのです。
しかし、このようなゲイ治療やカウンセリングは、ほとんどの参加者の性的指向や性自認を変えることはできませんでした。それどころか(自分は普通ではない)という自己評価が低くなってしまったのです。多くの医学団体や公共衛生団体がゲイ矯正セラピーに反対するようになり、キリスト教内部でも反対の声があがりました。2013年には全米最大のゲイ矯正団体だったExodus Internationalが、ゲイコミュニティに対して謝罪の声明を出し、閉鎖しました。
今ではカリフォルニアやDCを始めとする15の州と地域で未成年に対するゲイ治療は禁止されています。
『ミスエデュケーション』の評価
『ミスエデュケーション』はロッテントマトで批評家87%、一般77%と高評価です。また、2018年のサンダンス映画祭で、グランプリを受賞しています。
- リアル度 ★★★☆☆
- 考えさせられる度 ★★★☆☆
- クロエちゃん可愛い度 ★★★★★
3/19 追記『ミスエデュケーション』原作小説の翻訳プロジェクトが進行中
現在、本作の原作小説『The Miseducation of Cameron Post』をクラウドファンディングを通じて翻訳しようというプロジェクトが進んでいます。詳しくはTHOUSANDS OF BOOKSをご覧ください。
また小説の内容については以下のブログ記事が参考になります。
結構ボリュームがあるようなので、ぜひ翻訳を通じて多くの人に読まれてほしいと思います。