『ROMA』と並び今年の賞レースの本命とされている映画『女王陛下のお気に入り』(原題:The Favourite)を観ました!
映画『女王陛下のお気に入り』のあらすじ
時は18世紀初頭、アン女王(オリヴィア・コールマン)が統治するイングランドはフランスと戦争中。アン女王の幼馴染で、イングランド軍を率いるモールバラ公爵の妻サラ(レイチェル・ワイズ)が女王を意のままに操っていた。 > そこに、サラの従妹だと名乗るアビゲイル(エマ・ストーン)が現れる。上流階級から没落した彼女はサラに頼み込み、召使として雇ってもらうことになったのだ。 > ある日、アビゲイルは、痛風に苦しむアン女王の足に、自分で摘んだ薬草を塗る。サラは勝手に女王の寝室に入ったアビゲイルをムチ打たせるが、女王の痛みが和らいだと知り、彼女を侍女に昇格させる。
イングランド議会は、戦争推進派のホイッグ党と、終結派のトーリー党の争いで揺れていた。戦費のために税金を上げることに反対するトーリー党のハーリー(ニコラス・ホルト)は、アン女王に訴えるが、ホイッグ党支持のサラに、女王の決断は「戦争は継続」だと、ことごとく跳ね返される。 舞踏会の夜、図書室に忍び込んで、蝋燭の灯りで本を読んでいたアビゲイルは、ダンスホールを抜け出して突然駆け込んできたアン女王とサラが、友情以上の親密さを露わにする様子を目撃してしまう。 国を動かす二人と最も近い位置にいるアビゲイルに目を付けたハーリーが、アン女王とサラの情報を流すようにと迫るが、アビゲイルはキッパリと断る。アビゲイルはそのことをサラに報告するが、褒められるどころか「双方と手を組む気かも」と探られ、空砲で脅されるのだった。
アビゲイルはサラが議会へ出ている間のアン女王の遊び相手を命じられるが、女王は「サラは国家の仕事より私を優先させるべき」と駄々をこねる。アビゲイルは、女王の亡くなった17人の子供の代わりだという17匹のウサギを一緒に可愛がり、上手く女王をなだめるのだった。 > アビゲイルはサラの信頼を徐々に勝ち取り、女王のお守役を務める機会が増えていく。いつもストレートに物を言うサラに対し、甘い言葉で褒め称える従順なアビゲイルに女王は心を許していく。
議会では、トーリー党が激しく抵抗して増税を食い止める。女官長に就任して以来、初めてその権力に翳りが見えたサラに、今度は女王との関係を揺るがす大きな危機が訪れる。それは、いつの間にか野心を目覚めさせていたアビゲイルの思いがけない行動だった──。(引用元:公式サイト)
映画『女王陛下のお気に入り』の感想(ネタバレあり)
絶賛されている映画に対してこういうことを言うのは勇気がいりますが…個人的にはまあまあでした*1。理由は、個人的に時代劇があまり好きではないのと、百合的トキメキを求めて観たのに、まったくそういう方面で満たされなかったからだと思います。バッチリ女性同士の性関係が描かれているのに、ここまでときめかないのも珍しい。あとシニカルな終わり方もあんまり好きじゃないです。
あと、これは映画自体の問題ではないですが、「女は怖い」とかそういう感想を見かけるのもなんかうんざりします。
レズビアン的なものを期待すると微妙
百合的な目線で見たときのがっかりの原因の一つは(もちろんいろいろな見方があるとは思いますが)、女王のキャラが魅力的とは程遠い。もちろんレイチェル・ワイズ演じるサラと、エマ・ストーン演じるアビゲイルは美しいし、その2人がアン女王の寵愛を得ようとあの手この手で競い合う姿は興味深く、「レズビアン三角関係」といえなくもないのですが、基本そこにあるのは「出世」や「野心」であり、ときめきなどではありません。また、アン女王のキャラもとてもじゃないけどそういう対象で見られるものではありません。外見もそうだし、性格も知性も、ちょっと残念な感じのがアン王女なのです。
というか、サラも、アビゲイルも、アン女王との性的な触れ合いの様子は描かれますが、そもそもセクシュアリティ的に女が好きとかでは全くなさそうです。彼らがアン女王の寵愛を求めるのはあくまで宮廷で行きていくための方策ですし、性的なご奉仕も、他の「遊び」や「マッサージ」と同じ、女王が求めるから与えているだけなわけです。
んで、多分こういうのは実際あったんでしょうし、王さまに対しても普通にあったことなんでしょう。でも、なんかすごくうんざりしてしまいました。
映画『女王陛下のお気に入り』と史実が面白い
というわけで、レズビアン映画としては、いまいちですが、時代劇なので、豪華な衣装やちょっと大げさで楽しいメイクアップなどは楽しめます。あと、エマ・ストーン好きは楽しめます。アビゲイルって結構嫌なヤツなのですが、エマ・ストーンの愛嬌でなんとなく可愛らしく思えます。レイチェル・ワイズのクールでできる女っぷりも素敵。
しかし個人的にもっとも面白かったのは、この映画が歴史上の人物に基づいているという部分です。ELLEの以下の記事観てみてください。もう一度映画を観たくなります。また、アン女王を題材にした舞台などもあるようです。
- 【アン女王編】英王室、女たちのしくじり:『女王陛下のお気に入り』出世戦争
- 【サラ・チャーチル編】英王室、女たちのしくじり:『女王陛下のお気に入り』出世戦争
- 【アビゲイル・メイシャム編】英王室、女たちのしくじり:『女王陛下のお気に入り』出世戦争
また英国貴族について基礎知識があるともっと楽しめそうです!
映画『女王陛下のお気に入り』の評価
『女王陛下のお気に入り』はロッテントマトで批評家94%、一般64%。批評家には大変評判がよく、多くの映画賞でも賞をとっています。
- レズビアン度 ★★★★☆
- ときめき度 ★☆☆☆☆
- ドロドロ度 ★★★★★
↑エマ・ストーンがオープンリーレズビアンのテニス選手ビリー・ジーン・キングを演じた『バトル・オブ・ザ・セクシーズ(原題:Battle of the Sexes)』。
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↑レイチェル・ワイズの出演した『ディスオビディエンス(原題:Disobedience )』。ユダヤ人社会を舞台にしたこの作品もかなり濃厚なレズビアンシーンがあります!レイチェル・ワイズのお相手はレイチェル・マックアダムズ!
*1:実は『ボヘミアン・ラプソディ』もまあまあでしたw