フェイスブックが盛大に炎上している。フェイスブックの内部文書について、ウォール・ストリート・ジャーナルが大々的に報道し、他の報道機関も追随した。内容は、フェイスブックがヘイトスピーチや誤情報に対して対策を怠り、利益を優先していたこと、インスタグラムが10代の少女たちに対して希死念慮や摂食障害を引き起こす危険性があると知りながら何もしなかった点などだ。
📌Facebookは自社のプラットフォームでデマや有害な情報の流布、ヒューマントラフィッキングのために使われていることを把握していたが対策を怠ったと内部文書。
— イチカワ🇺🇸土曜夜11時JST〜クィア女子のたまり場 #えるらじ開催中🏳️🌈 (@yu_ichikawa) September 17, 2021
WSJスクープhttps://t.co/j1NL3BCnTz
Facebookは公式には規則はユーザー全員に適用されるというが、実際には有名人などのVIPユーザーにはルールを適用していなかった。https://t.co/39idvcGhwG
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Facebookの従業員は、自社のプラットフォームが麻薬取引、臓器売買、民族少数派への暴力、劣悪な労働環境へ女性を誘引することなどについては管理部へ🚩報告したが、会社は無視、またはほとんど対策をしなかった。https://t.co/58R002BCZc
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マーク・ザッカーバーグは、人々が迅速にワクチン接種することを優先事項に挙げているが、現実にはFacebookが反ワクチン派による誤情報の拡散に使われ、ワクチン接種の妨げとなっている。https://t.co/DgTJytctOb
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フェイスブックが誤情報や有害な情報の流布について批判されるのはこれが初めてのことではない。ケンブリッジ・アナリティカにユーザー情報がながれ、それが2016年の米国大統領選挙や英国EU離脱(Brixit)選挙のための選挙活動に利用されたこと判明した後、マーク・ザッカーバーグは謝罪に加えて、米国議会、EU議会にも証言し、誤情報の取締やアルゴリズムの改善に取り組むことを発表していた。
名乗り出た内部告発者
10月3日、これまで身元が明かされていなかった内部告発者である、フェイスブック元従業員のフランセス・ホーガンがテレビ番組60ミニッツに出演した(60ミニッツは 日曜夜に放映されている人気インタビュー番組で前回取り上げたリズ・チェイニーが同性婚への姿勢が間違っていたことを認めた番組でもある)。
ホーガンは、アイオワ州出身の37歳のデータサイエンティストだ。コンピューターエンジニアリングの学位を取り、ハーバード大学院でビジネスの修士を収めた。過去15年間グーグルやピンタレストなどのテック企業で勤務し、2019年から今年の五月までフェイスブックでプロダクトマネジャーとして勤務していた。彼女はフェイスブックにスカウトされた時「誤情報と戦うのなら」という条件のもとでオファーを受けた。彼女はオンラインの陰謀論で友達をなくしており、似たような悲しい思いをする人がもう出てほしくなかった。ホーガンは選挙に対するリスクに対処する Civic Integrityというチームに配属された。しかし、2020年の大統領選挙の後、チームは解散され、仕事は複数のチームに引き継がれた。
彼女はフェイスブック内部でこの問題に取り組もうとする人々が次々挫折するのを目にし、誰もが確実に「これは本当だ」とわかる形で外部に情報を出さなければいけない、と計画を立て、フェイスブックの内部調査資料をこっそりコピーし始めた。
フェイスブックは公には誤情報と戦う姿勢を打ち出していたが、内部調査ではヘイト投稿について3-5%、また暴力や煽動については0.6%の対応しかしていなかった。
フェイスブックはアルゴリズムをつかって様々な情報のなかから何をユーザーのニュースフィードに乗せるか決定している。過去にユーザーがどのような投稿に対して反応したかの情報に基づき、もっともエンゲージメントが高くなるような情報を選んで流している。そしてフェイスブックは、このような「エンゲージメントの高い情報」がもっとも憎悪にみち、社会的分断を煽り、人々を怒りへと駆り立てるものだったと知っていた。2018年にミャンマーで起こった大量虐殺で、軍隊はフェイスブックを使ったし、今年一月六日の議事堂襲撃のオーガナイズにも使われた。
ぶっちゃけ、内容は以前から言われていた内容の域を大きく外れるものでもないが、今回の告発はフェイスブックがしっかり内部で調査をしたうえで、それらについて気がついていたというのがポイントだ。ホーガンはフェイスブックの自浄作用には期待せず、情報を外に出すことで、強力な規制が行われることを期待している。
フェイスブックの行いは違法なのか?
私企業であるフェイスブックが利益を優先することは、倫理に反することがあっても、必ずしも違法とは限らない。しかし、ホーガンは、フェイスブックの行動が法に抵触していると考えている。上場企業であるにも関わらず投資家に提供するべき情報を隠蔽していた可能性があるからだ。ホーガンはEUの政治家にも連絡しており、今月後半には英国議会で証言する予定。またアジア諸国の政治家とも共同で働きかけたいと考えている。
社内の機密情報を盗み公開したホーガンの法的責任は?
証券取引等監視委員会に、8回通報をしたホーガンは内部告白者としての保護を求めており、NPO団体ウィッスルブロワーエイドがホーガンの弁護を担当しており、ホーガンの弁護費用をクラウドファンディングで集めている。
フェイスブックの言い分は?
フェイスブックは60ミニッツの取材に対して文書で回答し「誤情報や有害なコンテンツが広がるのを防ぐため、大きな進歩をしている。我々が悪いコンテンツを奨励しながら何もしていないというのは端的に事実ではない」としている。
60ミニッツが放映された翌日の月曜日フェイスブックの株価は急落した。また同日フェイスブックや傘下の関連アプリに大規模な障害が起きているが関連性は不明。