キング牧師の日(1月の第三月曜日)直前の週末に観てきたのでレビューを書きます!キング牧師の週末にぴったりの内容でした。
映画『黒い司法 0%からの奇跡 (原題:Just Mercy)』予告編
映画『黒い司法 0%からの奇跡 (原題:Just Mercy)』あらすじ
黒人への差別が根強い1980年代アラバマ州、犯してもいない罪で死刑宣告された黒人の被告人ウォルターを助けるため、新人弁護士ブライアンは無罪を勝ち取るべく立ち上がる。しかし、仕組まれた証言、白人の陪審員たち、証人や弁護士たちへの脅迫など、数々の差別と不正がブライアンの前に立ちはだかる。果たしてブライアンは、最後の希望となり、彼らを救うことができるのか―!? 可能性0%からの奇跡の逆転劇に挑む!(公式サイトより)
映画『黒い司法 0%からの奇跡 (原題:Just Mercy)』感想
個人的には好きですが、映画としてはオーソドックスでちょっと「ベタ」な作り。映画として「名作」かどうかはまた別の話。展開が予想できる作品です。また「人種差別」「死刑反対」という政治的主張が色濃く出ている政治的な作品であるため、好き嫌いが分かれると思います。そこらへんはルース・ベイダー・ギンズバーグ判事の伝記映画『ビリーブ 未来への大逆転』と似てるかな?と思いましたね!
わたし個人は、人種差別、冤罪や死刑制度などに対する問題意識がそもそも強くあるので、気持ちよく感情移入して鑑賞することができました。あとは、マイケル・B・ジョーダンの顔が好きなので、彼の顔を大画面ドアップで2時間鑑賞することができたのも満足度高かったです。
ちなみに、ブリー・ラーソンは、80年代ヘアスタイルのせいか?作品の中盤まで気づきませんでした!というか彼女の顔ってホント普通だよね…。
英語が分かりづらい
この映画で一点難しかったのは「英語の聞き取り」です。
ひとつこの映画で難しかったので、エボニクスx南部なまりのジョニー・Dの英語。アクセントもそうだし、文法もwhat I is...とかそんな感じでちょい難しい。文字起こししてもらえればヒップホップ好きは理解できる気もするけど聞き取りは難易度高すぎた!
— イチカワ❄️アメリカで働くレズ (@yu_ichikawa) 2020年1月19日
他の白人キャラもアラバマなまりキツイ…。特に鍵となる証人の英語は、片麻痺という設定もありとっても難しかった。←この事情も本人の口から説明されるのだが、聞き取りづらかった!!!もし可能なら字幕マシン借りて観るのがおすすめです。
— イチカワ❄️アメリカで働くレズ (@yu_ichikawa) 2020年1月19日
モデルになったブライアンの自伝の映画化
実は、この作品、実話を元にしており、主人公のブライアン・スティーンブンソンのJust Mercyという書籍の映画化です。
![黒い司法――黒人死刑大国アメリカの冤罪と闘う (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ II-9) 黒い司法――黒人死刑大国アメリカの冤罪と闘う (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ II-9)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/41clxxeqpSL._SL160_.jpg)
黒い司法――黒人死刑大国アメリカの冤罪と闘う (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ II-9)
- 作者:ブライアン・スティーヴンソン
- 出版社/メーカー: 亜紀書房
- 発売日: 2016/09/24
- メディア: 単行本
映画に登場した「イコール・ジャスティス・イニシアティブ」という施設も実在します。
ブライアン・スティーブンソンのTEDトークの動画は以下から見ることができます。動画の設定から日本語字幕(CC)をつけることができるので、ぜひ見てください。彼の価値感は正義感はもちろんですが、キリスト教の価値観にも深い影響を受けているのかなと感じました。
アメリカにおける人種差別と刑事司法の問題
さて、この映画を理解するうえで、必要なのが、アメリカの人種差別及び刑事司法の問題です。映画は、80年代のアラバマ州という特に人種差別が厳しい設定が描かれていますが、基本的な問題は今も続いています。
アメリカの警察は、人種に基づいたプロファイリングに基づき、黒人に対しての不当な暴力を奮っていることが問題になっています。Black Lives Matter運動とかそこらへんですね。映画でいうと『The Hate U Give』などがわかりやすく描いています。警察や検察、そして陪審員など、社会にあまねく残っている黒人に対する偏見のおかげで、黒人が犯罪で検挙されたり、死刑判決を受ける確率も高いです。
アジア人ももちろん「有色人種」として差別を受けますが、奴隷制の歴史を持つアメリカでは、黒人に対する差別は、「人種差別」のなかでも特に重い意味があります。奴隷制、そして法律的に白人と黒人を分けるジム・クロウ法はなくなりましたが、黒人への差別的な取り扱いは形を変えて今のアメリカ社会に深く刻み込まれているのです。
詳しくはここらへんの動画も観てみてください。動画ですが日本語字幕がついています。
ミシェル・アレグザンダー: ファーガソンの抗議は刑事司法による人種統制の廃止を要求する | Democracy Now!
ミシェル・アレグザンダー:現在の黒人大量収監のルーツは奴隷制度やジム・クロウ法に | Democracy Now!
映画『黒い司法 0%からの奇跡 (原題:Just Mercy)』評価
今の所、『黒い司法 0%からの奇跡』はロッテントマトで批評家スコア84%、オーディエンススコア99%、という高評価を得ています。
本作は、そもそもかなりターゲット層を絞っており、わざわざ映画館に足を運んでこの作品を鑑賞する人は、高い確率で高評価をすることを思えば、99%というのは驚きはありません。映画としては多少「ベタ」な作りなので、批評家スコアがやや下がるのも納得ですが、それでもなかなかの高評価といえるでしょう。
映画『黒い司法 0%からの奇跡 (原題:Just Mercy)』日本公開
『黒い司法 0%からの奇跡 (原題:Just Mercy)』の日本公開は2020年2月28日(金)です。
映画『黒い司法 0%からの奇跡』公式サイト 2020.2.28 (金)ロードショー
相変わらず映画の邦題がユニークでスゴいですねw
映画『黒い司法 0%からの奇跡 (原題:Just Mercy)』概要
- 監督:デスティン・ダニエル・クレットン
- 脚本:デスティン・ダニエル・クレットン、アンドリュー・ランハム
- 制作:ワーナー・ブラザーズ
- 上映時間:136分
- 出演:マイケル・B・ジョーダン、ジェイミー・フォックス、ブリー・ラーソン