組織の中で、手っ取り早く権力を行使する方法が一つあります。
それは「情報」をコントロールすること。
知識にしろ、ニュースにしろ、ノウハウにしろ、情報は価値です。そして、インターネットがここまで発達した現代でも、クローズドな組織や、非常に専門的な領域など、情報公開が十分でない環境であればあるほど、人は「情報」に価値を感じ、そして、「情報」を持っている人は権力を行使することができます。情報をコントロールする=つまり、自分が持っている情報をあえて出さない、ということで、自分の希少価値を保ち、自分の力とすることができるのです。
元号発表とか、その最たるものですよね!別に元号なんて、何になってもいいわけです。でもそれを大げさに盛り上げて「政府しか知らない情報」をありがたがる雰囲気を作り出すことによって、わたしたちは政府に必要以上の権力を与えてしまっていると言えます。どんなに予想したって元号なんてあたんないわけで。
サイエントロジーが、コアとなる「教義」をずーっと隠していたり(修行を続け、ある程度のレベルに達しないと見せてもらえない。そこで見せてもらった人が「こんなバカバカしいSF的な内容が教義だったのか」と呆れて洗脳が解け、反カルト運動に身を投じたりしてます)、オズの魔法使いが姿を隠すことによって、自らの権威を保とうとするのにも似ているかもしれません。
個人的なレベルでも、この「情報を出さない」「出し惜しみする」という手段は、閉鎖的な集団では効果を発揮してしまいます。もちろん、情報公開が進んでいる環境では、情報をどんどん出していく人のところにまた新たな情報が集まっていき「価値」が生まれていくでしょうが、全ての組織にそういう理想的な環境が整っているとは限りません。そういう閉鎖的な環境では「情報を出さない」というしょーもないやり方で自分の存在感をセキュアにすることが可能なのです。
わたしは決してそれがよいやり方とは思いませんし、全ての情報が公開されているような透明性のある環境に身を置きたいので、割と自分の持っている情報をオープンにしていくタイプです。でも、現実には生き延びるために「自分の口をつぐむ」必要もあるのかなと最近痛感しています。やれやれ。