#あたシモ

アメリカで働くレズの徒然

中絶薬が10万円はありえない、けど、そもそもこれまではその中絶薬すら認められない社会でだったし、また下手すればいつでもそうなるかもしれないって危機感のなかで生きてる話

Abortion Pills

Twitterで #中絶薬が10万円はありえない というハッシュタグがバズっていた。

薬を飲むことで中絶が可能になる「経口中絶薬」。日本で初めて承認される見込みでニュースになっている。その薬価が5万円、かつ診察料などと合わせると10万円ほどになるという報道を受けて、抗議の声が広がっている。また費用にとどまらず、中絶が確認できるまで病院内での待機が必要など、利用者にとって負担が大きい運用になりそうなことも批判されている。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230421/k10014045661000.html

実は、去年から今月まで米国でもこの「経口中絶薬」が熱い論点となっていた。中絶手術を人権として認めたロー判決が最高裁で覆されて以来、次なる中絶手段である「経口中絶薬」のFDA認可を覆そうという動きが強まっていたからだ。

米連邦地裁、中絶薬の承認差し止め 真逆の判断も | Reuters

4月のはじめ、テキサス州の連邦地裁は、2000年にFDA承認されて以来、使い続けられている経口中絶薬ミフェプリストンの承認を一時停止するという判決を下した。(※今回日本で承認される経口中絶薬にも、ミフェプリストンが含まれている)トランプ前大統領が指名したカズマリク判事は古くから反中絶運動に深く関わっていることで知られており、反中絶派は、自分たちに有利な判決を導き出すために、リサーチし「裁判官ショッピング」をしたうえで、彼の管轄であるテキサス州アマリロで訴えを起こしたと言われている。

結局この件については、ワシントン州の地裁で「これまで通り認める」という判決が出たため、最高裁まで持ちこまれ、、4月21日には、下級審の判決を覆し、経口中絶薬の使用を従来通り認めるという判決が出た(ふぅ!)。

この同じ経口中絶薬が、今回日本で承認されるということで、非常にタイムリーに感じた。中絶の権利の制限というのは、それが手段に対する直接的な法的規制であれ、コストや不便さ、というアクセスしづらさを通じた間接的なものであれ、自らの身体についての自己決定権という重要な権利を侵害するものであり、またその背景には家父長制的な考えがある。

国は違っても、それぞれのやり方で、皆が自分たちの権利を取り戻すための活動を行っている。そのために自分は、今ここで何ができるのか?わかりやすい答えはすぐ出ないけれども、諦めずに自分なりの道を模索していきたい。