#あたシモ

アメリカで働くレズの徒然

くだらないのにやめられない……恋愛リアリティ番組を観て思うこと

恋愛リアリティ番組はわたしにとってのギルティー・プレジャーのひとつだ。恋愛リアリティ番組って本当にくだらないし時間の無駄だ。

そのくせして、一旦観始めると夢中になって、登場人物に感情移入して、泣いたり笑ったり怒ったりしてしまう。

『バチェラー』や『テラスハウス』、孤島のなかで天国を目指す韓国のリアリティ番組『脱出おひとり島』様々なものがあるが、特に最近わたしが好きなのが『ラブ・イズ・ブラインド』お互いの顔が見えない「ポッド」のなかで会話だけで複数の異性と会話をし、声だけでプロポーズを行う。婚約が成立した状態で初対面を行い、その後バケーションに行き、地元に戻って家族や友人との対面を済ませ、10日後には「結婚式」という超スピード結婚を追うリアリティ番組だ。ポッドの中で「誰を選ぶか」とう駆け引きのドラマ、実際にポッドを出て、対面してから相手の外見やコミュニケーション方法に戸惑いを覚えるバケーション中のドラマ、他のカップルと対面し、ポッドの中で会話していた他の異性たちの外見を知ってからのドラマ、地元に戻り、同棲を始めてからのお互いのライフスタイルや金銭間隔のすれ違いを目の当たりにしてのドラマ、また家族関係や友人に紹介してからのドラマなど、様々なドラマ(=揉め事)要素があり毎回一気観してしまう(現在はシーズン5の最終話まであと一週間というタイミングだ)。

正直、初対面で結婚させる、とか、法律婚できる立場の人たちが「結婚」を飽きたおもちゃのようにいじくりまわして軽く扱っているのを見るのは微妙だ。同性同士で結婚できない立場の人間からしたら、かなり鼻白むというか、「よっぽど結婚に飽きてるみたいですね」と思ったりもする。しかし同時に、これらのリアリティ番組は「パートナーシップにおいて何が大切なのか」を考えさせられるし、意見の相違や嫉妬を感じたり、コンフリクトが起きた時のコミュニケーション方法についても教えてくれる気がする。同じシーンを観ていても、一緒に観ている恋人や友人の意見を聞くと「あ、この人はこういう風に感じるんだ」などの発見がある。インターネットフォーラムを読めば、大体の「世論」もわかる。自分がその意見に同意するかはさておき、「一般的にはこの行為はこう受け止められるんだな」と学べることは、空気を読むのが苦手で、アメリカで暮らしていて「何が『普通』なのか」を肌感覚であまりわかっていないわたしにとって、非常に貴重な機会である。

クィアの出てくる恋愛リアリティ番組もある。2023年には『最後通牒』というそもそもは男女カップルの恋愛リアリティ番組のクィア版である ~クィア・ラブ~が放映された。長くつきあっているが結婚していないカップルのなかで、片方が、「結婚してくれないなら別れる」と「最後通牒」をつきつけ、他のカップルとシャッフルし、別の相手と「疑似結婚生活」を送るなかで、元の相手と結婚するか、それとも新たにマッチングした別の相手と結婚するかを決めるというもの。番組自体はかなりドロドロしており、レズビアンやAFABのノンバイナリーやトランスのコミュニティでは、シスヘテロコミュニティと比べて次のパートナーを見つけることへのハードルが高いことを思うと、ヘテロ版と全く同じように見るのは難しいと思うが、自分の周りではかなり話題になっていた。