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アメリカで働くレズの徒然

映画『レディ・バード』感想 ちょっぴりイタいけど眩しい青春を描くシアーシャ・ローナンの出世作

レディ・バード (字幕版)

イエロージャケッツ目当てで加入したShowtimeのサブスク。そろそろイエロージャケッツのシーズン2も終わるし、キャンセルしようと思ってるんだけど。その前にA24のコレクションを全制覇したい!と思ってコツコツ観てる。最近観たのは『フロリダ・プロジェクト』と『ゴースト・ストーリー』どちらもよくて、マストドンには感想書いてるので、今度ブログにも載せるね!というか『イエロージャケッツ』のことも書かなきゃね。

しかし、今日は『レディ・バード』の話。すごいよい映画を観てしまったよ!

レディー・バードあらすじ

サクラメント(カリフォルニア州の首都であり、サンフランシスコの北に位置する街)の郊外で暮らす庶民の一家を描いた物語。看護師として働きながら家族を支える母…プログラマーだが職を失う父親、個性的だが変わり者、クリスチャン高校で問題児のレディ・バードことクリスティーンの高校生活と大学受験を通じて大人への一歩を踏み出す姿がリアルに描かれる。親友役のジュリーは、『ブックスマート』にも出ていたビーニー・フェルドスタイン。彼女の存在感、好きだわー!

レディ・バード感想

2000年代初頭のバイブたっぷりでよかった。青春の甘酸っぱさの詰まった良い映画。素直に後味よすぎて、意表をつかれたくらい。なんだろ、レディ・バードが生意気すぎてひっぱたきたくなるし、イタタタ……って場面も多いんだけど、不器用ながらに自分のほしいものに向かって突き進む彼女が愛おしい。あとは、一応カリフォルニアではあるけど、サクラメントという田舎町の閉塞感や、なんとか私立の学校に通ってはいるもののクラスメイトより金銭的に困っている主人公の一家の生活と、お金に無頓着で明らかに裕福なクラスメイトたちとのズレなどが、自然と、しかし意識的に描かれる。でも、レディ・バードは卑屈にならないし、へこたれない。

このあと少しネタバレになってしまうけど↓

特によかったシーンは、まずジュリーとの友情シーン。途中ジュリーを裏切って、イケてる悪友達軍団とつるむんだけど、いろいろあった挙げ句、途中まで合わせていたレディ・バードは「この歌は好きだし、私はプロムに行く!」って宣言して、ジュリーのもとに戻っていく。うんうん、やっぱジュリーとレディ・バードのコンビ最高!

あとはやっぱり母娘のシーンかな。母親は娘によく似てて、気が強くて頑固者。そんな二人の間をうまいこと埋めてくれる優しいお父さん。娘に対して素直な気持ちを表せられない母親だけど、涙をこらえながら空港に戻っていったり、手紙を何通も書いては「うまく書けない」って捨てたり。考えてみたら、この両親は伝統的なジェンダーが逆転してる気がする。あと最後の母親に電話するシーンもホントほっこりで。こんなに気持ちよくエンドクレジットを迎えられた映画って久しぶりかも!最後、大学に入って、地元からも、親からも離れて、それまで頑なに「私はレディ・バード」って自分で自分につけた名前を名乗り周りにもそう呼ぶことを要求してた彼女が、自然と本名を使い始めている点とか、成長が感じられてキュンとした。表情とかも違うし。うまいなー。

Little woman(ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語)に繋がるシアーシャ・ローナンとグレタ・ガーウィグ監督のタッグ。ガーウィグ監督の演出もいいんだろうけど、やっぱ、シアーシャ、当時から演技力が半端ないよ。

そして、今さら気づいたけど、シアーシャは『ハンナ』に出てたあの強い少女だったのねー!

誰とは言わないけどゲイの登場人物います。登場した時から「この人絶対ゲイだよね」って思ってて、だから、途中でえ??ゲイじゃなかったん??って混乱したけど最終的には「やっぱりね」って感じ。ティモシー・シャラメも出番は少ないけどハマリ役でした。

爽やかだけど嘘くさくなく。イタいのに希望もある。すごくリアルな「希望」を見せてくれる作品でした。観てよかったー!

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